放送ウーマン賞

放送ウーマン賞2011

昨年度はSJ40周年記念事業の勉強会開催や、その原稿を入稿する時期と重なったため、放送ウーマン賞の選考が約1か月遅いスタートとなりました。12月初め、例年通りSJ会員と有識者の皆さまに候補者推薦を依頼するのに加え、せっかくSJ40周年記念事業において幅広い職種でご活躍中の放送ウーマンの方々にご協力頂いたので、その人脈も生かそうということで、勉強会登壇者や本に原稿を寄せて頂いた方にも候補者の推薦をお願いしました。1月に入って2回の選考委員会を開催した結果、脚本家の大石静さんと、琉球朝日放送キャスターの三上智恵さんに決定しました。

大石さんは、2010年秋に放送され大きな反響を呼んだ「セカンドバージン」を始め、時代を反映し、大人の女性を惹きつけるドラマを作り続けていらっしゃることに対してエールを送りたいというのが贈賞理由です。三上さんは、沖縄に移り住み今やウチナンチューの心を持って沖縄の歴史と現在を捉え番組を作り続けています。ジャーナリストの原点ともいえる真摯な報道姿勢に敬意を表して賞をお贈りすることにしました。

三上さんは沖縄でデイリーのナマ番組のキャスターを務めていらっしゃるので東京での贈賞式に出席して頂けるかどうか、また多忙な大石さんとスケジュールが合うかどうか心配しましたが、何とかおふたりともご出席できる日も決まり、報道発表、関係者へのご案内状送付も済んでひと安心した頃、東日本大震災が起きました。

贈賞式およびパーティーを予定どおり3月23日(水)に帝国ホテルで開催するかどうか、役員会でも様々な意見が出されましたが、受賞者おふたりの意向も確認した上で、規模を縮小して開催することにしました。SJ会員、それぞれの受賞者を心からお祝いしたいと駆けつけて下さった関係者の皆さま、そして発行日を当日に併せて出版披露も兼ねた『放送ウーマンのいま』の関係者の皆さま、計68名の方が集まって下さいました。以前の放送ウーマン賞贈賞式をご存知の会員の方からは、原点に戻ったようなアットホームな式およびパーティーだったとおっしゃって頂き、結果的には良かったのではないかと思いました。被災地への思い、受賞者おふたりへのお祝いの気持ち、当日地震が起きたらどうするか、計画停電の影響は?と様々なことに思いを巡らせながらの開催でしたが、皆さまのご協力のおかげでつつがなく終了することができました。どうもありがとうございました。

(放送ウーマン賞2010選考委員長 柳田祐子)

放送ウーマン賞2010 受賞者

脚本家

大石 静(おおいし しずか)さん

1951年、東京生まれ。74年日本女子大学文学部国文学科卒業。81年、永井愛さんとともに女性2人だけの劇団“二兎社"を旗揚げ。86年、「水曜日の恋人たち」で脚本家デビュー。97年、NHK朝の連続テレビ小説「ふたりっ子」で第15回向田邦子賞と第5回橋田賞をダブル受賞。2008年、WOWOW「恋せども、愛せども」では芸術祭優秀賞を受賞。

主な脚本作品
1992年 ヴァンサンカン・結婚(CX)
1994年 長男の嫁(TBS)
1998年 DAYS(CX)
1999年 アフリカの夜(CX)
2000年 朝の連続テレビ小説「オードリー」(NHK)
2001年 ハンドク!!!(TBS)
2002年 First Love(TBS)
2006年 大河ドラマ「功名が辻」(NHK)
2008年 四つの嘘(テレビ朝日)
2009年 ギネ ~産婦人科の女たち~(日本テレビ)
2010年 セカンドバージン(NHK)

贈賞理由

大石さんは、1986年の脚本家デビュー以来、鋭い洞察力と豊かな表現力で主人公を生き生きと描き、女性たちの共感を得るオリジナル作品を数多く生み出してきました。2010年秋にNHKで放送された「セカンドバージン」は、リアリティと品性を保ちながら女性の強さと危うさを見事に表現し、大きな反響を呼びました。時代を反映し、特に大人の女性たちを惹きつけるドラマを作り続けていることにエールを送り、「放送ウーマン賞2010」をお贈りします。

受賞者挨拶

今日こうやって集まってくださったこと、心から感謝いたします。こういう時に晴れがましいことはどうかなとも思いましたが、日本が復興に向かって行く時にエンターテインメントの力は絶対に大きいと思い、胸を張ってこの賞をもらいに来ました。ドラマで皆さんを励ましていけたらなと思っています。
私は20年ぐらい脚本家をやってきましたが、ずっと、作品に個人的な思いをかけちゃいけないと思ってきました。でもここ3年ぐらいで、大衆の心をつかみつつ私らしさも出すという匙加減がちょっとだけ分かってきたような気がします。そんな時にこの賞を頂き本当に嬉しく思っています。 「セカンドバージン」は、そういう意味では、視聴率は良くなかったですが手ごたえは意外にあったんです(笑)。人間の危うさとか、ドラマでのエロスの表現ギリギリのところを思い切って狙ったところを、スタッフも役者も受け入れてくれて、そのみんなのパワーが、今日につながったんだなと思います。
まだまだ終わらないぞ大石は…という思いを今日はあらたにしました。ありがとうございました。

放送ウーマン賞2010 受賞者

琉球朝日放送キャスター

三上 智恵(みかみ ちえ)さん

1964年、東京生まれ。父の仕事の関係で12歳から沖縄に通い、成城大学で沖縄民俗を専攻。沖縄国際大学大学院修士課程。87年、毎日放送にアナウンサー職で入社。95年、琉球朝日放送開局で沖縄に移り住み、第一声を担当。以後今日まで15年、夕方のローカルワイドニュース「ステーションQ」キャスターを務めながら番組を制作。

主な作品/プロジェクト
1998年 「超古代文明は琉球弧にあった!?~沖縄海底遺跡の謎~」国際海洋映像祭入賞
2000年 「今甦る!海に沈んだ文明~沖縄海底遺跡の謎2 ~」ANNプログレス賞優秀賞
「語る死者の水筒~さまよう沖縄戦の遺品~」ANNテレメンタリー年間優秀賞
2003年 「海に沈んだ太平洋巨石文明~沖縄海底遺跡の謎3~」ANNプログレス賞優秀賞
2004年 「検証 動かぬ基地 拡大版」~沖国大ヘリ墜落事故から1か月~ ギャラクシー賞報道活動部門 優秀賞
2006年 「海にすわる~辺野古600日の闘い~」ギャラクシー賞テレビ部門 選奨、地方の時代賞 審査員選奨
2007年 「人魚の棲む海~ジュゴンと生きる沖縄の人々~」ANNテレメンタリークール賞
2009年 「サンゴが消える日~造礁職人 金城浩二の挑戦~」地球環境映像祭アースビジョン賞
2010年 「英霊か犬死か~沖縄から問う靖国裁判~」アンビシャス賞2010 ANNテレメンタリークール賞

贈賞理由

三上さんは、1995年に琉球朝日放送に転職し、沖縄に移り住みました。今やウチナンチューの心を持って沖縄の歴史と現在を捉えています。ドキュメンタリー「英霊か犬死か」では沖縄の人々にも鋭い問題提起をし、キャスターを務めるニュース番組では、貴重な資料映像と証言で「65年前の今日、何があったのか」を綴った「オキナワ1945」を1年間毎日放送しました。ジャーナリストの原点ともいえるその真摯な報道姿勢に敬意を表し、「放送ウーマン賞2010」をお贈りします。

受賞者挨拶

大変な状況の中、先ずはお集まり頂いたことに心から感謝申し上げます。私も阪神大震災の被災者です。当日の朝早番だったので、ラジオとテレビで毎日放送の第一報を担当しました。今回の震災でも、現地の放送局の方々がとっても頑張っていると思います。沖縄は幸い何の被害もございませんし、沖縄がしっかりと、経済活動も、生きることもやっていくべきだと思っています。
最近は、中央の価値観、中央にとっての報道と、沖縄にとっての報道が、方向性が違ってしまうことがよくあります。代表的なのが基地の問題です。政争の具にしてはいけないんです。沖縄戦で毎日何が起きていたのか、沖縄の人たちがどのように戦争を迎え入れたのか、本当に戦争は終わっているのかということを、報道部あげて世に問いかけてきました。沖縄の歴史や価値観に根ざした、沖縄の人たちによる、沖縄の人たちのための報道をしていきたいと思っています。一生懸命大声で訴えてきた私たちの仕事を見つけていただいたこと、本当に嬉しく思います。ありがたくこの賞を島に持って帰りたいと思います。どうもありがとうございました。