放送ウーマン賞

放送ウーマン賞2015

放送ウーマン賞は、番組やドラマなど作品に差し上げるのではなく毎年、放送界で活躍し優れた功績をあげられた女性にエールを贈るという意味で差し上げています。

今年は、12月8日、1月20日に選考委員会を開催いたしました。候補者28名の中から役員および歴代会長の皆様と共に、それぞれの方の作品、番組の視聴を行い、さらに周りの方へのヒアリングをし、情報収集を徹底的に行いました。
その結果、 放送ウーマン賞2015は、小柳ちひろさん(株式会社テムジン)と山口千波さん(株式会社特効)に決定いたしました。

(放送ウーマン賞2015選考委員長 石田敦子)



放送ウーマン賞2015 受賞者

株式会社テムジン

小柳ちひろさん

1976年秋田県生まれ。同志社大学卒業後、(株)テムジンに入社。2008年よりNHK「戦争証言プロジェクト」に参加。以来、戦争の時代に生きた市井の人々に焦点を当てたドキュメンタリーを制作している。
「引き裂かれた歳月 証言記録 シベリア抑留」(2010 放送文化基金賞優秀賞)、「シリーズ辛亥革命100年 第1回 孫文 ~革命を支えた日本人~」(2011)、「兵士たちの戦争 満州国軍 ~“五族協和”の旗の下に~」(2012)、「三つの名を生きた兵士たち ~台湾先住民“高砂族”の20世紀~」(2012 ギャラクシー賞ほか)、「BS1スペシャル 長い旅路 ~日本兵になったアメリカ人~」(2013)、「BS1スペシャル 女たちのシベリア抑留」(2014 文化庁芸術祭賞優秀賞ほか)、「NHKスペシャル 女たちの太平洋戦争~従軍看護婦 激戦地の記録~」(2015 ギャラクシー賞)など。

贈賞理由

2015年には、さまざまな戦後70年の企画が放送されました。その中でも小柳さんが制作したNHKスペシャル「女たちの太平洋戦争〜従軍看護婦 激戦地の記録~」(総合テレビ8月13日放送)は、従軍看護師という女性の視点で描くことにテーマを絞り、証言を丁寧に積み重ねることで戦争の悲惨さを圧倒的な迫力を持って描きました。戦争体験を証言できる人々が少なくなりつつある今、戦争を語ることを躊躇する人たちをひとりひとり説得し証言記録を残したことに敬意を表しウーマン賞をお贈りします。

受賞者挨拶

何よりこの賞を頂いて、とても畏れ多いことです。戦争をテーマに番組を作り続けてきましたが、縁と環境に恵まれ、取材をしているうちに次々と対象者が現れて、ここまで来ました。
ここ数年は女性を中心に取材してきましたが、女性のほうが腹を決めると話してくれるので、どんどん面白くなっていきました。戦争経験者の生活や貴重な体験を、足を使って記録していく努力がなければ出来なかったことです。 
原動力は一般の方々から歴史を学ぶこと。そして、魅力的な高齢者から感動をもらうこと。
証言者が語りたくないことを話して放送されることで、周囲から理解を得られ「一人で抱えていたことがやっと楽になった。話してよかった。浄化された」と言ってもらえた時に喜びを感じます。

放送ウーマン賞2015 受賞者

株式会社特効

山口 千波さん

1971年12月4日 神奈川県生まれ。東放学園専門学校卒業後、株式会社特効に入社(学生時代よりアルバイトとして従事)以来、24年間NHKの特殊効果一筋。現在(株)特効 取締役 第一営業部 部長。
「紅白歌合戦」「ニューイヤーオペラコンサート」(第37回ではJVA賞受賞)「歌謡コンサート」「ポップジャム」(のちMUSIC JAPAN)「明日へコンサート」「思い出のメロディー」「SONGS」など音楽番組から「LIFE!」「八重の桜」のコント・ドラマまでNHKの番組全般の特殊効果を担当。 

贈賞理由

火薬、ドライアイスなどの特殊効果というジャンルで25年、ドラマから音楽番組まで幅広く手掛けています。圧巻は紅白歌合戦の北島三郎「風雪流れ旅」。この曲で定番となった紙吹雪の演出ですが、年々増量し2005年には、前代未聞60キロの雪を吹き荒れさせ北島さん本人の姿も消えてしまうほどの迫力でした。昨年も「きゃりーぱみゅぱみゅスーパーハイビジョンライブ~スイートパウダールーム~」(NHK・BSプレミアム)など話題作も多く手がけています。番組を演出する上で特効という技術は欠かせませんが、その先頭を走り続けてきた女性の第一人者として、これまでの功績とこれからの活躍を願って放送ウーマン賞をお贈りします。

受賞者挨拶

特殊効果を25年、「チリも積もれば山となる」「継続は力なり」…とでもいいましょうか、ステージの華やかさの中に主役の人たちがいるが、たった1秒や2秒でも、特殊効果が主役になる瞬間があるので、それが生きがいです。これまでの経験や、綿密な準備があって出来るその瞬間、観客から歓声が「わ~っ」と上がると「やった!」と思う。ほんの一瞬のことですが。
この仕事には正解やゴールはなくて、まだまだ新しいものができると思っています。今後も40年、50年と続けていき、もっとびっくりしていただけるものを作っていきたいと思います。