放送ウーマン賞

放送ウーマン賞2013

放送ウーマン賞は、ドラマなど作品に差し上げるのではなく毎年、放送界で活躍し優れた功績をあげられた女性にエールを贈るという意味で差し上げています。

今年は、12月16日、1月14日、1月22日の3回、選考委員会を開催いたしました。候補者を3名に絞り、役員および歴代会長の皆様と共に、それぞれの方の作品、番組の視聴を行い、さらに周りの方へのヒアリングをし、情報収集を徹底的に行いました。
その結果、 放送ウーマン賞2013は、女優薬師丸ひろ子さんと「日本テレビ キユーピー3分クッキング」制作チームに決定いたしました。

(放送ウーマン賞2013選考委員長 瀬崎一世)



放送ウーマン賞2013 受賞者

女優・歌手

薬師丸(やくしまる) ひろ子さん

東京都出身。1978年、映画『野生の証明』でスクリーンデビュー。以降、『ねらわれた学園』(81)、『セーラー服と機関銃』(81)、『探偵物語』(83)、『Wの悲劇』(84)等、多数の作品に主演。主演作の主題歌を歌ったのを機に、歌手としても活動する。近年は、映画、TVを中心に活動。06年『ALWAYS 三丁目の夕日』では、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞し、10年『今度は愛妻家』で、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞する。その他、主な映画出演作は、『木更津キャッツアイ』シリーズ(03、06)、『ハナミズキ』(10)、『わさお』(11)等。TV出演作は、『泣くな、はらちゃん』(13)、『あまちゃん』(13)、『こうのとりのゆりかご』(13)など。また、昨年は芸能生活35周年記念し単独コンサートを開催、記念アルバム『時の扉』をリリース。

贈賞理由

「こうのとりのゆりかご」「泣くな、はらちゃん」「あまちゃん」などドラマはもちろん「食彩の王国」などのナレーションやドキュメンタリードラマ「ケンボー先生と山田先生」のナビゲーター、ラジオのパーソナリティ、そして歌手としても八面六臂の活躍をされ今年の放送文化に多大なる貢献をなさいました。
特に社会現象ともなった「あまちゃん」の音痴の大女優・鈴鹿ひろ美役は圧倒的な存在感がありました。35年の長きに渡り、シリアスな役柄からコメディまで主役のみならずしっかりと脇を固めるポジションまで私たちを勇気づけ楽しませ、更に素敵な年齢の重ね方は多くの女性の共感を得ました。これは一つ一つの作品に真摯に向き合い、美しい日本語を大切にされた上でテーマとなるメッセージをきちんと伝えてきた賜物だと思います。
その至宝の存在である薬師丸さんの長年の功績に敬意を表し、放送ウーマン賞2013を贈ります。

放送ウーマン賞2013 受賞者

日本テレビ

「日本テレビ キユーピー3分クッキング」
制作チーム

1963年1月21日放送開始。放送時間が5分(正味3分)であったため、番組タイトルに反映された。最初の料理は「とんちゃん鍋」。肉が高価であったため、野菜をたっぷり加えた温かい鍋の提案だった。当時の材料表記は5人分。翌々年には日本国内の平均世帯人員数にあわせて4人分に変更になった。1968年カラー放送開始。放送時間も5分から10分になり、聞き手と材料表が登場。現在のスタイルの原型ができる。放送外では単行本「3分クッキング」を発行し、5万部を売り上げるヒットに。1974年にテキストブック「3分クッキング」を季刊誌として創刊。(2003年には月刊化)1983年健康志向の高まりを受けて、レシピにエネルギー・塩分量の栄養表記が加わる。1995年放送1万回を迎える。1996年WEBサイトを開設。後に、当時は画期的であった動画配信も始める。2011年3分クッキング公式アプリをリリース。幅広い層の利用者に支持され、「APP Store Best of2012」に選出される。現在のダウンロード数は217万DLを突破。2013年50周年を迎える。記念して期間限定レストラン「キユーピー3分クッキング南青山三丁目キッチン」がオープンした。(2014年2月末日に閉店)

贈賞理由

オープニング曲「おもちゃの兵隊のマーチ」でおなじみの「日本テレビ キユーピー3分クッキング」がスタートしたのは1963年。今から50年も前のことになります。その間ライフスタイル、食生活は劇的に変化し洋風化、電化、核家族化の波の中で一貫して「天気予報のように料理のヒントを伝え、毎日の家庭の献立作りに役立ちたい」と日本の食を支え続けてきました。あくまで「主役は大根やニンジン」をモットーに奇をてらわず、手軽に美味しく健康的なレシピを紹介する番組は台所を預かる多くの人々の強い味方です。
また、早い段階からテキスト、インターネット、スマートフォン向けアプリなど他メディアとの融合も先駆的な役割を果たしてきました。生きる術である食の伝統を半世紀に渡って次世代につなげていく、これは大きな文化遺産でもあると思います。
そんな番組作りをコツコツと日々続けてこられた制作チームに尊敬の念を込め、放送ウーマン賞2013を贈ります。

受賞者挨拶

この度の素晴らしい賞は、いつも画面の外側で息をひそめ、エプロン姿でくるくると働き回る大勢のスタッフ達に、「いつもありがとう。ごちそうさま」とお礼を言われたような気持ちです。思わぬ光を当ててくださり、本当にありがとうございます。また、この幸せな仕事が50年以上も続いているのは、スポンサーであるキユーピー株式会社様のご協力と、何より視聴者の皆様の篤いご支援があってのこと。心より感謝を申し上げます。番組開始当時の基本方針「毎日の総菜にすぐ役立つものを、短時間の濃縮料理番組でお送りする」は、50年経った今も変わりません。毎日の食卓を守る人々に寄り添って、番組も毎日夢中でおかずをご紹介してきた。ふと我に返ると50年も経っていた。そんな感想の半世紀だったかもしれません。50年経った今、食事はわざわざ手作りをしなくても困らない時代です。それでも私達は手作りに拘り、手料理が持つ力を信じています。食べる人のことを思い、心を込めて作った料理で、出来立ての美味しさを分かち合い、喜びの時間を共にする…。毎日の食卓は愛する人々の心身を作るのだと。それはいつの時代であっても普遍的なことだと思います。そのような精神で、これからも日本の食卓に寄り添いながら、明日の献立を考え続ける番組でありたいと思います。

番組プロデューサー
首藤 由紀子